幼い頃から、美しいものが好きだった。
きらきら光るアクセサリー、繊細なレース、整った輪郭、なめらかな肌、艶のある髪――
それを目にすると、身体が自然に震えるような感覚があった。
誰にも教わってない。
「女みたい」なんて、小鳥がさえずるみたいに聞き流して生きてきた。
私の中では、“美しいもの”が当たり前だった。
社会と折り合いをつけながら、それでも。
私は手に職をつけた。
柔道整復、鍼灸、あん摩マッサージ指圧。
整骨院チェーンで働いて、モデルケースみたいな “模範的人間性” を演じるよう求められた。
でも、その仮面──あたしにはあまりにもハマらなかった。笑
独立してからも一応その仮面を被ってた。
だけど、気づいたら、私はとっくに自由だった。
でも──その時にはもう、私は「オジサン化」していた。
気づいた瞬間、震えた。
だから、変わろうと思った。
「人は変われる」を証明してきたなら、今度は “私自身” がその証人になるって。

過去の “オジサン化” も、
オジサン化しながら我武者羅に磨いてきた技術も知識も、
すべて、今の私がちゃんと持ってる。
そして今、あたしは、
あの時なりたかった “私” で、ここにいる。
──さぁ、次はきっと、あなたの番。
刺される覚悟、ある?(鍼ね)
── 駒澤鞘(ハリロイヤル・トーキョー武蔵小山)
